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IYC支援隊が東日本大震災被災地を訪問しました(2017年10月20-21日)

IYC記念全国協議会では、10月20日(金)〜21日(土)の2日間、8会員団体の職員24名が「IYC支援隊」として宮城県内の東日本大震災被災地等を訪問し、宮城県内の復興の取り組みと復興に向けた課題等を学ぶ視察・交流を行いました。
 この取り組みは、「震災復興に向けての協同組合活動」をテーマに開催された2013年7月の第91回国際協同組合デー記念中央集会において、東日本大震災の復旧・復興に向け、協同組合全国組織等が協力して実施できる具体策を協議し、相互に協力して実践・行動する旨の申し合わせを行ったことを受け、その具体策の一環として2014年度から実施しているもので、各協同組合の復興の取り組みを学び交流することを目的としています。
 4回目を迎えた今年の支援隊は、宮城県の協同組合間連携組織である宮城県協同組合こんわ会にご協力をいただき企画・実施しました。

◇1日目:大崎市→登米市津山町→南三陸町→気仙沼市→南三陸町◇

道の駅津山もくもくランド(登米市津山町)

19日は古川駅近く(大崎市)で前泊し、朝から最初の視察先である道の駅「津山もくもくランド」へ向かいました。あいにくの雨でしたが、木の香り漂う温かみのある館内で宮城県森林組合連合会と津山町森林組合から設立経緯や事業内容、震災時のお話を伺いました。
 面積の8割は森林という津山町の特徴を生かし、津山町森林組合を含む4団体で設立した「協同組合もくもくランド」では、各々の組織が担当事業(木工品、地場野菜、地域物産、食堂)を管理運営するという形態をとっています。震災の直接の被害は少なかったため、津波で大きな被害を受けた南三陸町への支援の拠点として緊急支援や避難所提供を行うなど大きな役割を果たしました。他の地域でもこうした施設を防災拠点として備えておく等の取り組みは大切ではないか、との参加者の感想がありました。

道の駅津山もくもくランド(登米市津山町)

南三陸さんさん商店街(南三陸町)

次に、今春、仮設商店街から移設オープンした南三陸さんさん商店街を訪問し、(株)南三陸まちづくり未来から本設に至るまでの経緯・課題、オープン後の状況について伺いました。
 3年前の支援隊でも訪れた仮設商店街からは一変し、木材を上手く取り入れた自然に馴染む外観の建物に28店舗が軒を並べていました。資金繰りやかさ上げ等の建設環境の整備、経営者の年齢層や後継者、商店街の管理・運営等様々な課題があったとのこと、新たな商店街立ち上げに至るまでのご苦労が偲ばれました。オープン当初はマスコミにも取り上げられたため、夏休みなど思いのほか観光客が訪れましたが、地元住民への働きかけとして朝市を行っているとのことでした。
 かつて商店街のあった場所に8.5mかさ上げし建設された商店街の周囲は、盛り土をする車両が通り、周辺の国道整備が始まったところでした。昼食は商店街の各飲食店が独自の海鮮丼で競い合う「きらきら丼」をいただきました。

南三陸さんさん商店街(南三陸町)

あぐり第一復興組合(南三陸町)

午後は、南三陸町のあぐり第一復興組合を訪問し、設立経緯や瓦礫撤去のご苦労、今後の抱負等を伺いました。
 多くの人と家屋を失い、「このままでは集落がなくなってしまう、自分たちでやるしかない」と4名の若者が復興組合を立ち上げ、JA南三陸も全面的に支援しています。震災前は輪菊農家だった組合長は、震災で仕事を失った地域の人々の雇用につなげたいと年間を通し安定した収穫が見込めて連作にも耐える小松菜のハウス栽培に転換しました。連日バスでやって来てくれたボランティアが瓦礫の撤去の作業にあたってくれたとのこと、この広さの瓦礫を撤去するのは大変な作業だっただろうと思いました。通年で出荷するには販路開拓も大事、出荷は絶対に絶やさないと強い決意で農業に向き合っています。行動力と地域への熱い思いに私たちも清々しい気持ちになりました。翌朝、宿泊先の南三陸ホテル観洋の朝食ではこちらの農場の小松菜のお浸しを美味しくいただきました。

あぐり第一復興組合(南三陸町)

株式会社サンフレッシュ小泉農園(気仙沼市)

その後、JA南三陸も支援する(株)サンフレッシュ小泉農園(気仙沼市)を訪問し、同農園を支援するJA南三陸の案内で、最新機械を導入した大規模園芸施設でのトマト栽培(オランダ式)の施設見学を行いました。
 病虫害を持ち込まないようエアシャワーを通り抜けた先に広がるのは2ヘクタールもの広大なハウスでのトマト栽培でした。天井から吊り下げられたハンギングガーターをつたって枝は伸び、床のパイプレール上をバッテリー式作業台車や防除ロボットが走行しています。栽培や生育状況判断等をすべてコンピューターで制御する大規模園芸施設で、ロックウール培地を使ってトマトの養液栽培が行われていました。
 津波によって小泉地区の多くの農家が被災し、水田も壊滅的な被害を受けました。そうしたなかで、大規模な園芸施設により採算性を確保し、並行してコメ作りをすることにより小泉地区の農業を次世代に引き継ぐことが自分たちの使命と考え、新たな農業形態による被災地再生のモデル地区として、また、地元の雇用を生む事業として成長し、地域に必要とされる企業を目指しているとのこと。地元の子供たちの見学の受け入れや幼稚園の祭りへの参加等にも地元との交流も大事にしていました。

株式会社サンフレッシュ小泉農園(気仙沼市)

◇2日目:南三陸町→石巻市→松島町→山元町→仙台◇

石巻市水産物地方卸売市場(石巻市)

10月21日の朝、南三陸町のホテルを出発し、石巻市水産物地方卸売市場(石巻魚市場)を訪問し、石巻魚市場株式会社と宮城県漁業協同組合から新市場の説明を受け、施設見学を行いました。
 震災によって港は完全に崩壊し、その後、高度衛生管理型の産地卸売市場のモデルとして建設された施設は、安全・安心な魚の提供をモットーに放射能検査の設備も備え、海外進出も視野に入れた施設です。風評被害への対策として、現在でも厳しい放射能検査を行って出荷。「ぜひ石巻の魚を食べてください。安全だと自信を持って言えます」との言葉に、私たちも石巻魚市場の管理体制や魚の安全性等を正しく周囲へ発信していく必要があると思いました。難しい問題にも真摯に向き合う姿、石巻の海産物にかける現場の方々の誇りや思いを強く感じました。

石巻市水産物地方卸売市場(石巻市)

A&COOP(エー・アンド・コープ)松島店(松島町)

次に、みやぎ生協とエーコープ宮城による全国初の共同運営店舗A&COOP松島店を訪問し、宮城県生活協同組合連合会、生活協同組合連合会コープ東北サンネット事業連合、株式会社東北共同開発から、同店オープンの経緯や現状、新ブランド「古今東北」についてのお話を伺い、店舗の視察をしました。
 エーコープ松島店とみやぎ生協松島店は長く隣同士のライバル店舗でしたが、エーコープ松島店の建て替えを契機に発想を転換し、全農宮城県本部も含めた三者が共同運営・共同仕入の可能性について検討を積み重ね、雇用形態やシステムの違いを乗り越えて全国初の共同出店の実現に至ったとのこと。協同組合間協同の新たな形を学びました。また、生協は震災復興を含めた地域振興のために役割を担う責任があると考え、東北発信の新ブランド「古今東北」を開発、全国展開を目指しているとのこと、私たちも応援できればと思いました。エーコープ商品、生協商品、古今東北の商品が仲良く並ぶ店舗はなにより消費者にとって利便性があると思います。昼食は同店で作るお弁当をいただきました。

A&COOP(エー・アンド・コープ)松島店(松島町)

株式会社やまもとファームみらい野(山元町)

最後に、亘理郡山元町の株式会社やまもとファームみらい野を訪問し、同地区での生産復興について伺いました。
 同社は山元町の53戸の被災農家達が発起人となり設立され、JAみやぎ亘理も支援しています。震災復興に向けた県事業により、住宅と農地を大胆に区分し、これまでは住宅地だった場所に大区画の農地が整備されました。町が導入した施設や大型機械を貸与することで持続可能な営農と被災農家の雇用の確保を目指しています。防風林も流され潮風の強い地で、かつてのイチゴ栽培から根菜、長ネギ等の塩害に強い作物やトマトの生産に転換しました。しかし、一定の深さまで瓦礫を撤去したものの、さつま芋などの収穫の際、深い部分の瓦礫や小石が当たり商品にならない作物が出てしまいます。瓦礫撤去と農地の塩害から回復作業を継続中でしたが追いつかない様子でした。復興はまだまだというお話がありました。

株式会社やまもとファームみらい野(山元町)


 今回は、IYC支援隊を新人研修の一環として位置づけ新人職員が多数参加した団体もありました。彼らにとって各協同組合の現場での取り組みを直接見聞きすることはとても印象深かったことと思います。また、たった2日間ではありますが、他の分野の協同組合の職員と行動を共にすることはいろいろな発見や交流も生まれ、貴重な機会であったと思います。また、視察先の皆さんは様々な課題を抱えながら試行錯誤を重ね復興に取り組んでおられ、「ここで見たことや感じたことを是非、周りの人に伝えてほしい」とおっしゃっていました。震災から年月が経ち当時の記憶が薄れつつあるなか、支援隊を通じて学んだことをしっかりと伝えていくことが今求められている支援の一つであると思います。普段から被災地に意識をもっていたいと意を新たにする2日間でした。

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